学域を超えた交流

3月26日(日)にSILMIT(Students Interested in Law or Medicine In Tokai)という学生の勉強会に参加してきました。

 

SILMITは、年に2回、医学部、法学部の学生が中心となっている自主学習会です。
私は、司法修習生の頃にはじめてSILMITに参加しました。
弁護士登録をしてからも、毎回お声がけをいただき、昨年3月には、基調報告として「医療行為におけるリスク管理」と題して、どうすれば起きてしまったミスを医療界全体で共有することができるかということについて話をする機会をいただきました。
SILMITでは、毎回、医療と法に関するテーマを2~3つほど取り上げ、小グループごとにディスカッションをして、それぞれの立場からの意見交換を行っています。
今回は、出生前診断がテーマのひとつとされていました。
こうした生殖医療については、生命倫理的にも法律的にも様々な課題が残されている一方、普段の業務ではほとんど取り扱うことのないような問題ですが、改めて色々と考えることのできるいい機会となりました。
また、今回のSILMITでは、特別企画的に、HPVワクチン薬害名古屋訴訟の原告さんをゲストスピーカーとして、HPVワクチンに関する問題点、訴訟の概況、被害の実情等について意見交換をする時間を設けてもらうことができました。
なかには、名古屋訴訟の期日を傍聴に来てくれた学生さんもいましたが、参加者の多くが、実際に被害に遭われた方の話を聴くことは初めての経験であったようでした。
法学または医学を学ぶ学生が、それぞれの立場からひとつの問題意識を共有してもらえたことは、私としても大きな収穫であったなと感じています。
HPVワクチンの問題に限らず、ひとつの課題について、法学、医学それぞれの立場からざっくばらんに意見交換をするというSILMITの趣旨が、大変に素晴らしいものだと思っています。
法律家も医療者も、目指すところは医療の安全、医療の質の向上であるはずです。
こうした高みを目指すためには、本来、法律と医学、さらにはそれに限らない様々な立場・学域からの忌憚のない意見交換がなされることが重要ではないでしょうか。
少なくとも、ひとつの学域だけで閉鎖的な議論をしていても、その実は十分に上がらないだろうと思います。
学生の頃からこうした学域を超えた交流の場を持てているということは、大変に貴重な経験であると思います。
是非、こうした取り組みを続けていってほしいものです。