ごあいさつ
はじめまして。
弁護士の柄沢好宣(からさわ・よしのぶ)です。
私は、名古屋市で医療過誤事件の患者側代理人業務に専従する弁護士です。
まだ私が弁護士になる前のことですが、南山大学法科大学院で、当時教授をしていらっしゃった加藤良夫弁護士から、医療事故に遭った患者さんやご遺族が抱く“5つの願い”というものがあると教わりました。
1 原状回復 元の状態に戻して欲しい
2 真相究明 何が起きたか真実を知りたい
3 反省謝罪 それが誤りであるならきちんと反省して謝罪して欲しい
4 再発防止 その反省から同じ過ちが繰り返されないようにして欲しい
5 損害賠償 相応の賠償をして欲しい
実際に、私が弁護士としてこの業務に就くようになってから出会った患者さん・ご遺族の多くが、これと同じことをおっしゃっているように思います。
私も事件解決を目指すにあたっては、単に金銭賠償を求めることに終始するのではなく、患者さん・ご遺族が抱える“5つの願い”が反映される解決となるよう心がけています。
現に、示談交渉や和解をする際に院内カンファレンスや学会等で報告をして再発防止策を立案・実践して欲しいと申し入れることも珍しくありません。
こうした取り組みを繰り返していく先に、医療がより安全で信頼できるものとなっていくと考えています。
尊大で見果てぬ夢のようにも思えますが、同じ願いを持つ患者さん・ご遺族の皆さま、先輩弁護士、そして何より医療安全に一生懸命取り組んでこられた現場の医療従事者の皆様のたゆまざる努力の結果が、少しずつ実を結びつつあります。
平成27年10月1日より医療法改正に伴って施行された医療事故調査制度もそのひとつです。
これまで各医療機関において任意で実施されるにとどまっていた院内事故調査が法律上の制度として位置づけられたことは、我が国の医療安全に向けて大変意味のある一歩を踏み出したものと言えるでしょう。
私も、こうした諸先輩方の努力の結晶を踏みにじることのないよう、そして、より大きな実を結ぶよう、日々、研鑽に努めて参ります。