「専門」じゃなくて「専従」?

しばしば、「医療専門でやっているんですね」と言われることがあります。

 

「専門」という標記は、見る人・聴く人に対してとても高い信頼を持たせます。

当然、専門を名乗る側としては、その信頼に応えられなければなりません。

専門を名乗る以上は、それに応えられるだけの素養、“質”が確保されていなければならないはずです。

しかし、好き勝手に専門を名乗れるのであれば、客観的にはその素養がないにも関わらず専門と名乗ってしまうことにもなりかねません。

その結果、周囲がそれに信頼を寄せながら、その信頼が裏切られてしまうことも十分にあり得ます。

だからこそ、「専門」と名乗るからには、現場や研修等で相応の経験を積み、試験を受けるなどした上で、然るべき専門認定機関から客観的視点で専門と認定されることで、その質が確保される必要があるのです。

 

医療界では、まさにこうした精神のもと、専門医認定の仕組みが整備されているわけです。

 

一方、弁護士の世界にはこうした専門認定機関は存在しませんし、専門認定基準も存在しません。

こうした客観性をもって業務の質を確保しうる状況にない中で、弁護士が「専門」を名乗ることは、本来的には差し控えるべきであるともされています(「弁護士広告―業務広告規定の解説」 H12.7.25 編:日本弁護士連合会弁護士業務の広告問題ワーキング・グループ)。

 

したがって、私は自分から「専門です」という言い方はしないようにしています。

自己紹介等で必要があれば、このWebページにもありますように、「専従」という言葉を使うようにしています。

読んで字のごとく、専らある業務に従事しているという意味です。

つまり、私の場合、医療過誤事件の患者側代理人としての業務に専ら従事しているというわけです。

 

もっとも、これは「自分にはそんな力量はないから・・・」という自信のなさからそうしているわけではありません。

実質的には「専門」と名乗るにふさわしい弁護士となるよう、日々、研鑽に努めて参ります。